面白過ぎて数時間で読了してしまいました。

年末年始に読んだ本の中で、僕に強烈なインパクトを残した１冊が、ヤン・ハイネさん著の「オールロードバイク・レボリューション」です。
ドイツ人のヤンさんは、ロードやシクロクロスなど幅広いジャンルに精通している一方で、環境科学分野で博士号を取得、なんとNASAの研究員として論文を書くなど、自転車界の外側からの目線もお持ちです。
本書では、今まで私たちが自転車に乗る上で「なぜかわからないけど良い」とか、「何かこっちのほうが好き」とかの漠然としたイメージや感覚の“理由”を、ズバッ！と文章にしてくれています。
思ったことをそのまま発言せず、時には心に押しとどめたりし、人との和を壊さないことを美徳とする日本人には、なかなか書けない内容かもしれません、、、。
一部に自転車屋さんの商売上伏せておきたかった内容も含まれますが、実に真髄を付いてますので、ご興味ありましたら是非読んでみてください（苦笑）。

本書６６頁は、
“従来のボールベアリングはとても効率的に作動するので、
セラミックベアリングにはパフォーマンスを向上させる利点はほとんどない。”
と言う余計な、いや衝撃的な文章から始まります。
ボールベアリングというのは驚くほど効率的に作動するので、標準的な品質を得ている製品なら抵抗はほぼゼロであり、高品質を謳うセラミックベアリングに交換したところで、もともとゼロの抵抗はそれ以下にはならないと言うのですが・・・
そうは言ってもセラミックベアリングはサイクリストの憧れ、ドリーム、もっと言うなれば
ロマン！ なのですっ。
その心をコチョコチョとくすぐるセラミックBBが、SRAM純正として登場！
箱を開けると目に飛び込む赤いスリーブが、見慣れたノーマルBBとの違いを強く主張。しかし、ひとたび組付けてしまえば“自転車の顔”とも形容されるクランクの陰に静かに隠れ、あくまで縁の下の力持ちであることを忘れない。こんな健気なパーツ他にありますか？？？

SRAM BB DUB　Ceramic

ノーマル（右）だって充分回ります！

赤いスリーブでヤル気１００％超え！

赤いスリーブがチラ見えするだけなのもニクい！

さぁ皆さん！ヤンさんが何と言おうと、セラミックベアリングはロマンです！
データだけではない、プラシーボ的な性能もサイクリングを更に楽しくするための重要な要素なのです。楽しければもっと遠くに行けるし、楽しければ結果として速い。少し高価な部品代は“楽しさ”でご納得いただけるかと・・・。

ヤンさんの本は間違いなく面白いです！是非ご一読いただきたいのですが、“和して同ぜず”の心も持ち合わせつつ、ページを開いて頂きたいと思います。